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日本ワークス K'S Room
日本ワークス Team K のブログ
カティサーク
2019年春に劇場公開されたロードムービーで
「グリーンブック」という映画がある。

人種差別が激しい1960年代のアメリカの実話をもとに描かれ
第91回アカデミー作品賞を受賞した。

天才と呼ばれる黒人ピアニスト“シャーリー”は、
カーネギーホールの最上階に住みながらも、あらゆる場面で黒人として差別を受ける。
同じ人間であることを否定されるような場面に、
彼は傷つきながらも非常な努力により品位を保ち笑顔で答える事で、
人種差別と、さらに壮大な何かと果敢に闘う。

一方のイタリア系白人“トニー”は粗野で野放図だが、腕っぷしが強く「はったり」もきき、
自然体で愛情溢れる家族と親族に囲まれ、生活に追われる。

全く異なる2人の主人公は、「演奏者と雇われ運転手」として、
人種差別が最も激しく危険なアメリカ南部へのコンサートツアーへと向かう。
当時発行されていた、黒人が利用可能な施設を案内した「グリーンブック」を手に―。

上映された当時は映画館で
そのあとはDVDで、何度も観た。

その映画の中で、シャーリーがトニーに
毎晩部屋に1本のウイスキーを届けるように言いつける。
彼は毎晩ホテルのベランダで、ベランダがない時は戸外に出て、
ひとり夜気にあたりながら、そのウイスキーを静かに飲む。
彼の孤独や決意や淋しさ、様々な彼の想いを象徴するような印象的なシーンだ。

映画でもアーティストのPVでも、
ジャンルを問わず皆共通なのではないかと思うが
何度も見ていると見るところが違ってくる

表情や動作のひとつひとつに愛着を持ち
このシーンはこの言い回しだからこそ成り立つのだ、
など勝手な想い入れが加わり
好きな場面の好きな理由は随分マニアックなものになる。

そういった事の延長線上で、何度も観ているうちに
「このウイスキーは今も実在するのか。するのであれば一度是非飲んでみたい。」
となった。
少し前に流行った「聖地巡礼」と呼ばれた現象の、変形版だと思ってほしい。

しかし思っただけで調べる努力はひとつもしなかった。
ただ心の中だけで、実在するかしないかわからない「幻のウイスキー」を楽しんでいた。

今年のGWを迎えるにあたり、大袈裟だが実行するならば絶好の機会と捉え、
探してお取り寄せするならばこの辺がギリギリのライン、と思うところに来て
やっと調べたところ

その幻のウイスキーはあっさり見つかった。
ネットでお取り寄せどころか
いつも利用するスーパーにも売っていた。

緑のガラス瓶に黄色のラベルで、イギリスの快速帆船が描かれている。
船の名前からとったウイスキーの名前を「カティサーク」といった。

お値段は1,200円程度だった。
憧れだった幻のウイスキーは大衆的で庶民的だった。

買って帰宅した時に
たまたま来ていた義弟は、見た瞬間「カティサークですか」と言い当てた。
義弟はアルコールを一切飲まないので、
このウイスキーが如何に有名かという事だ。

兎にも角にも
憧れの緑のガラス瓶と共に観たグリーンブックは期待したとおり格別で
小さくも大きな願いを叶え
充分過ぎる程満足した今年のGWだった。

ちなみにカティサークはアルコール度数が40度あり
小さなグラスに2cm程注がれたカティサークは
映画を観終わった時にも揺るがず2cmのままだった。

あれを毎晩1本飲むというシャーリーの酒豪ぶり、
その強靭な肝臓にも常人ならざるものを感じたのであった。


amabietyann
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